管理職として活躍する女性社員4名で座談会を開催しました。管理職になってから変わったことや、将来の目標・描いているキャリアプランについての話を伺い、女性として、技術者として、上司として、様々な視点から仕事に対する想いを語り合ってもらいました。
メンバ―
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橋本 紗百合
交通基盤事業本部 構造部
2007年新卒入社。交通基盤分野の橋梁を専門とし、橋梁や道路構造物の設計を担当。3児のママとして育児にも奮闘中で、週末は子どもの習い事や、家族でキャンプに行くことも。 -
梶井 公美子
技師長 兼 ESGサステナブルスマートシティ統括プロジェクトマネージャー
1994年新卒入社。環境・エネルギー分野を専門とし、室長、部門長、副本部長のキャリアを経て現職。日々一緒に暮らしている猫から癒しを得つつ、休日は読書や散歩でリフレッシュしている。 -
中島 真由美
人事部 人事室長
2011年キャリア採用入社。別業界を複数経て当社に入社。2児の母で、「やるからには楽しもう」がモットー。スポーツとお笑いを観るのが好き。子育ても終盤に差し掛かり、これから増える一人の時間に何をしようかワクワクしながら模索中。 -
髙阪 加奈代
国土基盤事業本部 河川部
2007年新卒入社。国土基盤分野の河川や防災を専門とし、河川計画やかわまちづくりに従事。休日は愛犬との散歩や日帰り旅行などを楽しみながら、防災士等の資格を活かして地域のボランティア活動にも参加。地域住民への防災教育や河川・水教育にも関わっている。
今までのキャリア遍歴を教えてください。
入社時は新設橋梁の設計業務を担当。設計図面の通りに施工されていく様子を見て嬉しく感じるとともに、物がリアルになることに対し大きな責任と恐れを感じていました。入社4年目のときに点検・補修・補強を行う構造物の維持管理部門に異動し、点検作業で1週間現場滞在したこともしばしば。リアルな構造物に触れる機会を得たことと、橋が作られた後どのように経年変化していくか実体験として知ることもできました。その後入社6年目のときに再度、新設橋梁の設計部門に異動。このとき技術士資格を取得するとともに、第一子を出産。橋梁に関して、新設、維持管理、耐震と一通り携わり、知識と経験を習得できたことは技術者としての私の大きな強みとなっています。最近はそれに加えてさらに強みを増やすためにBIM/CIMに精力的に取り組んでいます。社内では、管理職になる数年前からチームリーダーとして8人ぐらいのメンバーをまとめています。
入社当初の環境アセスメントや自治体環境基本計画等の業務を経て、その後長く気候変動・地球温暖化対策の国の政策立案に関わる業務に取り組んできました。温暖化はグローバルな課題のため、その意味では当社で海外業務にも平行して携われたのは大きな利点でした。20~40代、とにかくずっと仕事が楽しく、国内と海外の仕事を繰り返しながらどんどんのめり込んでいきました。40代半ばから管理職となり、室長1年、部門長4年、副本部長を3年経験し、技師長となりました。今の私のミッションは、全社における環境・エネルギー分野、特にカーボンニュートラル領域の戦略立案とその実行を主導することです。
私はもともと大学では化学を専攻していました。梶井さんと似ていますが、環境分野に携わりたくて新卒で入社したのはシンクタンク、その後、農産物や食品の認証・分析を行う会社を経て、当社に入社しました。当社と同じような規模の会社から小さい会社まで幅広く業務を経験する中で、シンクタンクではコンサルタントでしたが、徐々に管理系の仕事に移っていきました。当社では最初は経営企画部で中期経営計画や広報の仕事に携わり、その後人事部に異動をしました。異動のタイミングで管理職となり室長へとステップアップし、今に至っています。
私の入社後の配属先は中部支社で、中部地方にある川の河川・河道計画や治水経済調査の検討等に携わっていました。規模は小さいものの、若手ながら一つの業務を丸ごと任せてもらえたことで自信がつき、もっと技術力を身につけたい、この仕事を続けたい、と思ったことを覚えています。
その後、東日本大震災が起こり、震災復興・復旧支援チームの一員として東北へ向かい、宮城県及び沿岸市町の津波防御施設配置計画のための津波浸水予測解析等を行っていました。今まで河川の業務しか経験していなかったため、津波の業務は未経験。同僚や先輩、上司等から学び、一から勉強しました。その後、東京に戻り複数の出向経験を経て海外の防災についても学び、適切なダムの管理や操作等に関する業務にも携わり、今に至っています。ダム(川の上流)から津波(川の下流・海)まで、さらに日本だけでなく海外まで視野を広げ、幅広く治水・防災分野に携わることができていることが自分の強みです。
管理職になって変わったこと、今改めて感じることを教えてください。
第二子を出産して復帰したあとに管理職になり、当然やることも増え、自分1人でできることの限界に気づきました。どんなに頑張っても1日は24時間しかなく、効率化を極めても限界があります。自分ができることを増やすためには自分と同じことができる人を育てて巻き込まないといけない。今までは自分だけのレベルアップを考えていたけれど、これからはチーム全体、組織全体のレベルアップを意識する必要があると思っています。
私は部長になったとき、本部長から「部長という役割を演じなさい」と言われたことが印象に残っています。自分の性格や得意領域がこうだからこれは向いていないなどと考えるのではなく、部長として期待される役割の遂行に徹しきることが大事、と。でも、これはよく考えたらそれまで個別業務に携わっていたときに必要とされた技術と実はあまり変わらないんですよね。対象組織を良くする戦略を立て、その実現に向けてしっかり工程管理を行うこと、要は誰がいつまでに何をするのか決め、それを確実に実行させていくこと。これに尽きます。部長になったからといって何かが大きく変わるわけではない、と思いました。また、実際に自分の講じた施策や工夫で組織が良い方向に変わっていく手応えが感じられた時は、大きな達成感を得ることができました。管理職になることにためらいを感じている方には、是非躊躇せず、この醍醐味を味わってほしいと思います。
室を預かる室長という立場になり、リーダーシップとはまた違うマネジメントが求められ、対人関係スキルが特に重要であると感じています。室全体のことを考えながら個に向き合う。室メンバーとコミュニケーションをとり、メンバーを理解し、育成の観点や仕事へのモチベーションを高めることを意識しながら、目標に向かって組織を運営していく。言うは易し行うは難しですが、どこに向かっているのか見失わないように、一つ上の視座で仕事をみていくことを心掛けています。
私は、いい意味でおおらかに、「これでいいのだ」と思うようになりました。今にフォーカスし、あるがままを受け入れ、自分を含め、人を育てる・一緒に育つ意識が生まれました。初心忘るべからず。これから自分には何ができるのか、と自問自答しながらステップアップしていきたいです。
将来の目標や描いているキャリアプランを教えてください。
当社は、他がやっていないことにこそ我が社がまず先鞭をつけるべし、という企業風土に満ちた会社で、建設コンサルタントの枠を超えて活躍できる会社です。様々な社会課題に対し他業界とも積極的に協業して新しい解決策を提示していく、そんな会社になれるよう力を尽くしたいです。
私の専門の環境・エネルギー領域でいえば、2023年10月に当社グループとしてのカーボンニュートラル戦略を公表したところですが、顧客の脱炭素化を支えるコンサルティングはもちろん、グループ会社のパシフィックパワー(株)を軸として多様な業界と協力しながら、新しいエネルギービジネスの形も提供していきたいと考えています。
また、橋本さんや髙阪さんの話にもあったように、個々の技術者として自分の専門領域はきちんと持った上で別の領域の知識・経験を合わせ持った、全体俯瞰のできるマルチ人材がこれからますます重要になります。そういった人を当社の中に多く育てたいですし、それが今後の自分の役割の一つだと思っています。
会社が建設コンサルタントの枠を超えていくと言っている中で、人事も外部の知見を取り入れ社内外で連携して新たな価値を創出する「オープンイノベーション」の取り組みを進めていきたいです。我々自身も机に向かっているのではなく、外を向いていく。人事を「人×事業」、人と事業を繋げる組織にしていきたいです。
新卒採用、キャリア採用、分野を問わず、もっと積極的に人を採用して仲間を増やしていくべきですね。
そうですね。人が資本の会社なのだから。経営戦略、人材戦略を実行するために、攻めの人事でないといけないと思っています。
私は、社会課題に真摯に向き合う技術者であり続けたいと思っています。挑戦することを忘れずに、天井を突き抜けていくイメージで仕事を掴んでいきたいですし、マネジメントも進めていきたい。ただ「がむしゃら」だけでなく、しなやかに、ひとつの働き方として後輩や若手に見せていきながら、欲張りに自分のキャリアプランを描いていきたいです。
実はもともと海外業務に携わりたくて当社に入社ました。この思いはずっと持ちつつも、どこかで自己ブレーキをかけていたのも事実です。多くを望むのはおこがましいと遠慮していたのかもしれません。同じ構造系技術者で、同じ環境下の上世代がほぼおらず、自身のキャリア形成に対する漠然とした不安もありました。ただ、技術力研鑽のために地味にあきらめずに努力し続けたのも事実で、その努力に素直に従い、自分がパイオニアとしてもっと欲張りにキャリアを追求していきたいと思います。後に続く後輩が希望を抱けるように、良いロールモデルになることも自分の役割だと思います。
技術的な視点だと、更地に建設されるシンプルな橋の設計というよりも、既存の橋の架け替え、都市部の渋滞解消に伴う改築、駅周辺の再開発に伴う構造検討といった多様で難しいプロジェクトが増えています。マルチな技術者を擁する当社の強みを生かせるフィールドであると思います。私もさらなる多角的な視野と技術をもつために、外部の委員会に積極的に参加しています。新しい知見、刺激も多く、面白いです。
40代中盤からでも海外の仕事にチャレンジすることは十分可能ですよ。私も本格的に海外業務に取り組み始めたのは42~43歳くらいでした。海外業務と一言で言ってもその形は様々です。今は国内にいながら海外の方とのオンライン会議も可能な時代ですし、いきなりすぐ海外に行く前に、国内クライアント業務でネット情報や文献のリサーチを通じて海外の技術動向調査を行う、その中でまず英語の扱いに慣れる、というステップもありえます。
当社は、30~40年という長いキャリアプラン・ライフプランの中で自分がやりたいことをやるにはどういうステップがありうるか、様々な形を考えられる会社だし、実現できる会社だと思います。
ありがとうございます。自分もまだまだ頑張ろうって元気づけられますね。自己実現、キャリア形成のために、自分はこんなことに取り組んでいる、こんなやり方があるということを、社内外に発信していくことも大切だと思います。この情報を知りたい人がいるかもしれない。今、様々な価値観をもった社員が入社している中で、ロールモデルは多い方がよいですね。
最後に、当社を目指す方へのメッセージをお願いします。
社会を支えるインフラやまちづくりに関してクライアントにより良い提案をし、それで会社が利益を得られ、最終的に社会のためにもなる。こんなにやりがいに満ちている会社はありません。国・自治体・民間企業・研究機関など多様な顧客の触媒役として関われる点も魅力で、実に様々な人に出会えて自分が人間的にも成長できます。こういうことを仕事に求めている方にとっては、願っても無い会社ではないでしょうか。
働きやすさという意味でも、当社の制度は充実していますよね。今は男性も育休を取るのが当たり前だし、女性だけがハンデを意識する状況ではなくなりつつあります。また、子どもが産まれるまでの間バリバリ働いて蓄積したスキルはすごく価値があるもので、その後たとえ10年くらい家庭との両立で仕事を一定程度セーブせざるを得ないとしても、そういうスキルの持ち主が会社に居続けてくれることの方がはるかに大事だと会社も認識しています。
振り返ってみれば、育児は大変だったけれど楽しかったですし、子どもを通じて新たな関係を持つことができたり、学ぶこともたくさんありました。不安を抱えて諦めてしまうのは、会社にとっても損失です。心に思っていることを話してもらえれば、上司が解決策を一緒に考えます。それが上司の役割です。家庭との両立を考えると自分の能力を100%発揮できないと思うことはあるかもしれないけれど、それも一時。7割なら7割のやり方がある。家庭との両立は育児だけでなく介護もありますし、誰もがそういう時期を経るものとして、お互いがお互いをフォローする会社でありたいです。コミュニケーションをとりながら前へ進んでいきましょう。
あるがままに、自分に熱くなろう。人生ですから、良いこともあればそうでないこともあります。それでも前を向くことが大事です。私は、思い描いていることを言葉にするといつか具現化できると信じています。みなさんの思い描いた未来に当社があるのであれば、ぜひ一緒に仕事をしましょう。
比較的若いうちから業務の裁量権が与えられ、業務を通じて自己実現できる会社であると思います。先進的な制度があると分かっていても、家庭との両立を不安に思う気持ちも十二分に分かります。ただ、両立しながら働く環境づくりは私も含め先輩方が開拓して整地してきたと思います!やる気を持って入社していただければ、受け入れ態勢は万全です。ぜひ待っています。